ふるさとの情景が広がる藤枝市瀬戸谷の里。山々の深い緑と瀬戸川の渓流が昔のまま残された地域である。この豊かな自然を多くの人が満喫できる観光拠点として計画されたのが、公設民営のこの温泉
施設である。設計段階では、地元住民とのワークショップを開催し、地域社会の活性化に役立てることを試みた。
建築のデザインは、竹林や田畑に囲まれた素朴で穏やかな周辺環境と調和するよう、自然との共生を図り、伝統的で親しみのもてる表現とした。また、随所に日本のこころを表現するかたちを取り入
れ、人にやさしく、木のぬくもりを五感で感じられる施設とした。
中でも、利用者を招き入れるイメージで各部屋を扇状に配置した計画、水平ラインを強調した屋根の美しさ、深い軒による縁側、中間領域の演出、地元朝市などの利用が可能なふれあい広場のあり方は、特に検討を重ね、力を注いだところである。